「BCP(事業継続計画)を作らなきゃ」と思っても、分厚い計画書を前に、どこから手をつけるか分からず止まってしまう——中小企業ではよくあることです。ですが、BCPはまず「1ページ」から始めれば十分です。大切なのは、最初の1ページにいざというとき本当に必要なことだけを書くこと。この記事では、その1ページに書くべき5つのことを、中小企業向けに解説します。
分厚い計画より、「1ページ」から始める
BCPは、立派な計画書を作ることより、「1ページ」から始めて、続けることのほうが大切です。多くの中小企業がBCPで挫折するのは、最初から完璧を目指してしまうからです(挫折の理由は「中小企業のBCP対策、なぜ進まないのか?」で解説しています)。
いざ災害や障害が起きたとき、分厚いファイルを開いて読み込む余裕はありません。必要なのは、「何を守り、誰が動き、まず何をするか」が一目で分かる1枚です。そこから始めて、少しずつ厚くしていけば十分です。BCP全体の進め方は「BCP対策とは?中小企業が今すぐ取り組むべき5つのステップ」もあわせてどうぞ。
最初の1ページに書くべき、5つのこと
その1ページには、次の5つを書きます。難しい様式は要りません。この5つがそろっていれば、いざというときに動ける「わが社のBCP(1ページ版)」になります。
① 目的と、守る「中核事業」を1つ決める
最初に、「何のためのBCPか」と、絶対に止めたくない中核事業を1つ書きます。中核事業とは、止まると会社への影響が最も大きい、最優先で継続・復旧すべき仕事のことです(中小企業庁の指針でも中心になる考え方です)。すべてを守ろうとせず、まず1つに絞るのが、動けるBCPの出発点です。何から絞るか迷ったら「災害時の業務継続、最小限の準備で最大の効果を出す方法」も参考になります。
② 自社に起きやすい「想定リスク」を書く
次に、自社に起こりうる事態を、思いつく範囲で書き出します。地震・水害・停電・感染症に加え、通信やシステムの障害、取引先の停止も中小企業には現実的なリスクです。近年は南海トラフ地震臨時情報のように「いつ来てもおかしくない」前提での備えも求められています。回線が止まる事態は「光回線が止まった時、業務はどう守るか?」、取引先に巻き込まれるリスクは「取引先が止まると、自社も止まる」で詳しく触れています。
③ 発動の基準と、最初の「初動」を決める
「どうなったらBCPを発動するか」と、発動後の最初の数時間でやることを書きます。「震度○以上」「○時間以上の停電」など、迷わず動ける基準にしておくのがコツです。初動は、安全確保・安否確認・状況把握の3つを軸にすると整理しやすくなります。
④ 連絡と体制(指揮・安否確認・連絡手段)
いざというとき、誰が指揮を執り、どうやって連絡を取り合うかを書きます。責任者と代理、安否確認の方法、電話がつながらないときの代替手段(メッセージアプリなど)まで決めておきます。在宅・分散時の連絡は「テレワーク時代のBCP、自宅勤務でも業務を止めない仕組み」もあわせてどうぞ。
⑤ 重要な資源とバックアップ
最後に、中核事業を支える重要な資源(人・データ・設備・取引先)と、そのバックアップ・代替手段を書きます。とくに重要データは、クラウドともう1か所に必ずバックアップを。ここが、いざというときに事業を戻せるかどうかの分かれ目になります。
1ページを「使える」ものにするコツ
1ページBCPは、作って終わりにせず、年に1回見直し、一度は試すことで、はじめて使えるものになります。訓練といっても、半日でも「発動してみる」だけで、足りないところがはっきりします。
ゼロから書くのが難しければ、公的な「型」を使いましょう。
中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」には、そのまま使える様式が用意されています。さらに、「事業継続力強化計画」(国が認定する簡易な事前対策の計画)は、この1ページBCPを一歩進めた形として活用でき、認定を受けると税制・金融の優遇が受けられる場合があります。実際に申請・認定を受けた体験は「事業継続力強化計画の認定を取ってみた」で紹介しています。詳細・要件は記事末の参考リンクからご確認ください。
セルフチェック:最初の1ページ、書けますか?
□ 絶対に止めたくない「中核事業」を、1つに絞れますか?
□ 発動の基準と、最初の初動を決めていますか?
□ 重要データを、2か所以上にバックアップできていますか?
1つでも「いいえ」があれば、そこが最初の1ページで埋めるべき空白です。
まとめ:まず1ページ、そこから育てる
BCPは、完璧な計画書を目指すほど動けなくなります。まずは次の5つを、1枚に書いてみることから始めましょう。
- 目的と、守る「中核事業」を1つ決める
- 自社に起きやすい想定リスクを書く
- 発動の基準と、最初の初動を決める
- 連絡と体制(指揮・安否確認・連絡手段)を決める
- 重要な資源とバックアップを書く(+年1回見直し、一度試す)
最初の1ページは、完璧でなくて構いません。まずは「うちの“いちばん止めたくない仕事”は何か」を書くところから始めてみてください。
1ページBCPの土台は、「中核事業が、どの機器・データ・つながりに支えられているか」を把握していることです。
SOLAMILUは、その土台となる「自社のIT環境の見える化」を支える仕組みです。
参考リンク(公式情報)
※リンク先は外部の公式サイトです(別タブで開きます)。様式・制度の要件・優遇内容は変わることがあるため、最新情報は各公式ページでご確認ください。
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