「ランサムウェアは、大企業が狙われるもの」——そんなイメージがあるかもしれません。ですが、公的なデータが示す実態は違います。被害の約6割は中小企業で、入口の多くは身近なVPNやリモート接続。しかも一度やられると、復旧に1,000万円以上・1か月以上かかることも珍しくありません。この記事では、警察庁などの最新データから、中小企業にとってのランサムウェア被害の”実態”を整理します。
数字で見る、ランサムウェア被害の実態
まず、被害の全体像を数字で押さえましょう。以下は、警察庁が公表しているデータをもとにした最新の傾向です。
報告される被害件数は高止まりしており、2025年(令和7年)は年間で約226件、その上半期だけでも116件と、3期連続で100件を超えています。ランサムウェアは、IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも組織向けの脅威の第1位です(「情報セキュリティ10大脅威2026、中小企業に関わる5つ」で解説)。
実態①:狙われているのは、中小企業
被害組織の約6割が中小企業です。「規模が小さいから狙われない」は、もはや通用しません。むしろ、大企業に比べて対策が手薄になりがちな中小企業は、攻撃者にとって侵入しやすい相手と見られています。取引先の一社として狙われ、そこから被害が広がることもあります。
実態②:入口は「VPN・リモート接続」
感染の入口として最も多いのが、テレワークなどで使うVPN機器やリモートデスクトップです。令和6年のデータでは、感染経路の内訳は次のようになっています。
つまり、多くの攻撃は正規の「外からの入口」を通って侵入しています。リモート接続を使える口とアカウントを把握し、守りを固めることが、被害を防ぐ大きなポイントになります。
実態③:暗号化の前に「データを盗まれる」
近年のランサムウェアは、単にデータを暗号化するだけではありません。暗号化する前にデータを盗み出し、「支払わなければ公開する」と脅す「二重恐喝」が主流です(令和6年で被害の8割超)。バックアップから復旧できても、盗まれた情報の流出リスクは残る——これが二重恐喝の怖さです。
実態④:復旧は「高くつき、長引く」
被害に遭ったときのダメージも深刻です。警察庁のデータでは、復旧費用が1,000万円以上に達した組織が5割を超え、復旧に1か月以上を要した例も半数近くにのぼります。
「身代金を払わなければよい」という話ではありません。調査・復旧・再発防止にかかる費用と時間そのものが、事業に重くのしかかります。
だからこそ、侵入を前提に「早く気づく」「確実に復旧できる」備えが重要になります。対応にかかる費用の考え方は「SCS評価制度、対応コストを抑える3つのアプローチ」、投資に使える制度は「中小企業のIT補助金、2026年度の活用方法」もあわせてどうぞ。
中小企業は、まず何をすべきか
実態を踏まえると、中小企業がまず取り組むべきことは見えてきます。難しい話ではありません。
- 入口を把握して守る:VPN・リモート接続の口とアカウントを棚卸しし、放置された口を閉じる
- 早く気づく:「いつもと違う」に気づける状態をつくる(平常時の見える化が前提)
- 確実に戻せる:重要データを2か所以上にバックアップし、戻せることを確認しておく
- 制度を活用する:義務化の動向や補助金も踏まえ、無理なく対策を進める(義務化の解説/SCS評価制度)
これらすべての土台になるのが、「自社に何があり、誰が・どこからつながっているか」の見える化です。守る対象と入口が見えていなければ、対策も後手に回ります。
セルフチェック:ランサムに備える基本、できていますか?
□ VPN・リモート接続の口と、使えるアカウントを把握できていますか?
□ 「いつもと違う」に気づける状態(平常時の見える化)がありますか?
□ 重要データを2か所以上にバックアップし、復旧を試したことがありますか?
「いいえ」がある項目が、いちばん被害を減らせる始めどころです。
まとめ:実態を知れば、やることは絞れる
ランサムウェアの被害は、数字で見ると中小企業にとって身近で、しかも高くつくリスクです。次のポイントを押さえておきましょう。
- 被害の約6割は中小企業。「うちは狙われない」は通用しない
- 入口の多くはVPN・リモート接続。まず口とアカウントを把握する
- 二重恐喝が主流。バックアップに加え、情報の持ち出しにも警戒する
- 復旧は高く・長い。侵入前提で「早く気づく・確実に戻す」備えを
- すべての土台として、自社を見える化しておく
脅威全体の動向は「情報セキュリティ10大脅威2026、中小企業に関わる5つ」もあわせて押さえておくと、優先順位をつけやすくなります。
ランサムウェアに振り回されない第一歩は、自社の「入口」と「守るもの」を見える化することです。
SOLAMILUは、その土台となる「自社のネットワーク・IT資産の見える化」を支える仕組みです。
参考リンク(公式情報)
※リンク先は外部の公式サイトです(別タブで開きます)。ランサムウェアの被害統計は毎年・毎期更新され、集計方法により数値が異なります。最新の数値は必ず警察庁・IPAの公式資料でご確認ください。
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