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2026年9月9日
MDM(モバイルデバイス管理)、スマホ業務利用時代の必須対策

チャットでの連絡、経費の承認、二段階認証、テザリング――いまやスマホは「持ち歩く業務端末」です。ところが、PCにはウイルス対策やEDRを入れていても、スマホは各自まかせで丸腰、という中小企業が少なくありません。この記事では、スマホ・タブレットを守る仕組みであるMDM(モバイルデバイス管理)でできることと、無理のない始め方を解説します。

MDMとは――スマホ・タブレットを「会社として」管理する仕組み

MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)とは、社員が使うスマホやタブレットを、会社の管理画面から一括で設定・把握・保護する仕組みです。PCの世界でいう「資産管理+セキュリティ設定の強制」をモバイル向けにしたもの、と考えると分かりやすいでしょう。できることは大きく5つあります。

MDMでできる5つのこと 中央のスマートフォンを5つの機能が囲む図。 MDMでできる5つのこと ① 紛失時のリモートロック・初期化 なくしても、遠隔で中身を守れる ② 画面ロック・暗号化の強制 「設定していない人」をなくす ③ OS・アプリの状態把握 更新されていない端末が見える ④ アプリの配布・制限 業務アプリを配り、危険なものは防ぐ ⑤ 台帳としての資産管理 誰が・何台・どの端末を持つかが分かる
図1:MDMの役割は「守る」と「見える化」の両方。①と⑤が中小企業の一丁目一番地

なぜ今、必須なのか――スマホ特有の3つのリスク

①最大のリスクは「紛失・盗難」。スマホはPCと違って毎日持ち歩きます。電車、飲食店、出先――なくす機会は圧倒的に多く、中には社内チャットやメール、取引先の連絡先、認証アプリまで入っています。画面ロックのない端末を1台なくすだけで、情報漏えい事故になり得ます。MDMのリモートロック・初期化は、この「なくした後」に打てるほぼ唯一の手です。

②攻撃の主戦場がスマホに移っている。フィッシング対策協議会への報告件数は、2025年の1年間で245万件を超えて過去最多を更新しました。SMSで偽サイトへ誘導するスミッシングなど、スマホの小さな画面を狙う手口が中心です。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、リモートワーク等の環境を狙った攻撃が組織向けの脅威に入っています。

③「私物利用」が見えない穴になる。会社支給のスマホがない会社ほど、社員は私物のスマホで業務チャットやメールを見ています(BYOD)。それ自体が悪いのではなく、ルールも把握もないまま使われていることが問題です。PCの世界でいう「業務外で何が起きているか分からない」状態(「社員のPC、業務外で何が起きているか把握できていますか」)が、スマホではさらに見えにくい形で起きています。総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」も、私物端末の業務利用には管理ルールの整備を求めています。

MDMとEDRはどう違う?ざっくり言えば、EDRは「侵入された後に気づいて対処する」仕組み(「EDRとは?「アンチウイルスだけでは足りない」を中小企業向けに解説」)で、主戦場はPCやサーバー。MDMは「端末を正しい状態に保ち、なくしても守る」仕組みで、主戦場はスマホ・タブレットです。役割が違うので、どちらかで代用はできません。PCはEDR、スマホはMDM――これがエンドポイント防御の基本形です(「クラウド時代のエンドポイントセキュリティ」)。

PCはEDR、スマホはMDM、土台は台帳 左にPCとEDR、右にスマホとMDM、下に共通の土台として台帳を配置した図。 端末で守り方を分ける。土台はひとつ PC・サーバー = EDR 侵入された後に「気づいて対処」 アラートを見る運用とセット 主なリスク:ランサムウェア・不正侵入 スマホ・タブレット = MDM 正しい設定を保ち、なくしても守る リモートロック・初期化が切り札 主なリスク:紛失・盗難・スミッシング 土台:全端末の台帳(見える化) 誰が・何を・何台持っているか。ここが曖昧だと、EDRもMDMも「入れ漏れ」が出る
図2:EDRとMDMは併存する役割分担。両方の入れ漏れを防ぐのは台帳=見える化

中小企業の始め方――4ステップで十分

  1. 「何台・誰が・どちらの持ち物か」を洗い出す
    まず、業務に使われているスマホ・タブレットを会社支給と私物に分けて数えます。「私物で業務チャットを見ている人」も含めるのがポイントです。ここが曖昧なまま進めると、MDMを入れても対象漏れだらけになります。
  2. ルールを先に決める(機械より先に約束)
    会社支給端末には「MDMを入れる・画面ロック必須・なくしたら即連絡」。私物利用は「業務データは指定アプリのみ・退職時にアクセス解除」など、最小限の約束から。ルールは監視のためではなく、社員と会社を守る安全管理のため――この目的の伝え方は、PCロックの話(「PCロック監視、社員の生産性管理ではなく安全管理として」)とまったく同じです。守れる範囲に絞る割り切りも大切です。
  3. MDMで「最低限の3つ」だけ設定する
    最初から全機能を使う必要はありません。①画面ロックの強制、②紛失時のリモートロック・初期化、③OS更新の把握――この3つだけで、スマホ事故の大半に備えられます。費用も、MDMは1台あたり月額数百円程度から使えるものが多く(2026年時点の目安)、EDRより軽い負担で始められます。予算の考え方は「中小企業のEDR導入、月いくらが現実的か」と同じ「ライセンス+運用」の2階建てで。
  4. PC側の守りと合わせて「全端末カバー」にする
    スマホをMDMで固めても、PCが手薄では意味がありません。PC・サーバーはEDR(選び方は「中小企業向けEDR、選定の5つのポイント」、従来型との違いは「EDRとEPP(従来のアンチウイルス)、何が違うのか」、導入後の運用の勘所は「EDRの誤検知、運用でどう向き合うか」)、スマホはMDM。「社内のどの端末にも、何かしらの守りがある」状態を目指します。これは「すべての端末を信頼せず確認する」というゼロトラストの発想(「ゼロトラストセキュリティ、中小企業にも必要か」)の、中小企業らしい第一歩でもあります。

スマホ対策の本質は、社員を縛ることではなく、
「なくしても・狙われても、事故にしない」仕組みを会社が持つことです。

まとめ:スマホは「小さなPC」ではなく「持ち歩く業務端末」

  • MDMは、スマホ・タブレットを会社として一括管理する仕組み。できることは5つ=リモートロック・初期化/設定の強制/OS・アプリの把握/アプリ配布・制限/台帳管理
  • スマホ最大のリスクは紛失・盗難。フィッシング報告も2025年に245万件超と過去最多で、スマホが攻撃の主戦場に
  • 私物利用(BYOD)は禁止ではなく、把握とルールで付き合う。目的は監視ではなく安全管理
  • 始め方は4ステップ=①台数と持ち方の洗い出し ②ルールを先に決める ③最低限の3設定(ロック強制・リモート初期化・OS把握) ④PCのEDRと合わせて全端末カバー
  • MDMは1台月額数百円程度からと負担が軽く、着手しやすい(2026年時点の目安)

MDMの導入でつまずくのは、機能選びではなく最初の一歩――「業務に使われているスマホが、そもそも何台あるか分からない」ことです。会社支給の台帳から漏れた端末、私物で業務チャットを見ている端末。見えていないものは、守れません。

スマホ対策も、まずは社内の端末の見える化から始めましょう。

参考(公式情報)

※制度・統計・価格の目安は2026年時点の公開情報にもとづきます。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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MDM導入の前に、まずは見える化から

会社支給のスマホは何台か、私物で業務データに触れている端末はないか――MDMの対象も費用も、端末の全体像が見えてこそ決められます。SOLAMILUは、社内のネットワークとIT機器の状況を見える化し、漏れのないモバイル対策の土台づくりをお手伝いします。

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この記事を書いた人

SOLAMILU編集部|中小企業のITインフラとセキュリティの「見える化」に取り組むSOLAMILUのメンバーが、現場で役立つ情報をお届けしています。

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