「EDRが必要なのは分かった。で、結局いくらかかるの?」――導入検討で最後に残るのは、いつもこの質問です。結論から言うと、EDRのライセンス自体はPC1台あたり月額500〜1,500円程度が2026年時点の一般的な目安です。ただし、それは費用の「1階部分」にすぎません。この記事では、「ライセンス+運用」の2階建てでEDRの費用を捉え、自社に現実的な月額の考え方を整理します。
EDRの費用は「2階建て」で考える
EDR(何ができる仕組みかは「EDRとは?「アンチウイルスだけでは足りない」を中小企業向けに解説」を参照)の費用は、大きく2つの層でできています。
1階=ライセンス費用。端末の台数分だけかかる、いわば「入場料」です。2026年時点の公開情報では、PC1台あたり月額500〜1,500円程度のレンジに収まる製品が多く、サーバー用は1台あたり月額数千円程度と高めになります。30台の会社なら、ライセンスだけで月1.5万〜4.5万円程度という計算です。
2階=運用の費用。ここがEDR特有のポイントです。EDRは「検知して知らせる」仕組みなので、アラートを見て判断する人がいなければ機能しません(「EDRの誤検知、運用でどう向き合うか」)。自社でやるなら担当者の時間という見えないコストが、外部の監視サービスに任せるなら月々のサービス費用がかかります。運用まで任せる場合の費用は端末数やサービス内容による幅が大きく、ライセンス費用の数倍になることも珍しくありません。
「無料のウイルス対策じゃだめ?」という声への答え。従来型のアンチウイルス(EPP)は「入口で止める」仕組み、EDRは「入られた後に気づいて対処する」仕組みで、役割が違います(「EDRとEPP(従来のアンチウイルス)、何が違うのか」)。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では組織向け脅威の1位がランサムウェアで、警察庁の統計では被害の6割超が中小企業です。「入られた後」の備えにいくら払うか、という問いだと考えると、費用の意味が見えやすくなります。
月いくらが現実的か――3つのパターン
従業員30名・PC30台の会社を例に、月額のイメージを3パターンで整理します(いずれも2026年時点の目安です)。
- ライセンスのみ・自社運用:月1.5万〜4.5万円程度+担当者の時間
いちばん安く始められますが、アラートの確認と判断(「EDRの誤検知、運用でどう向き合うか」)を担う人が必要です。IT担当が兼任の会社では、「安く入れたが、誰も画面を見ていない」が最大のリスク。クラウド管理型の製品を選び、管理の手間を減らす工夫(「クラウド時代のエンドポイントセキュリティ」)が前提になります。 - 運用まで任せる(監視サービス込み):ライセンスの数倍を見込む
検知後の判断や対処を外部の専門チームに任せる形です。夜間や休日もカバーされるため、専任者を雇うよりはるかに安く「人の目」を確保できるのが実際のところです。IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、こうした見守り込みのワンパッケージを中小企業向けに登録・公開している制度で、監視の強化や定期的なコンサルティングを要件とする「2類」も加わっています。料金はサービスごとに公開されているので、IPAの一覧で比較してみてください。 - 段階導入:まず「守るべき端末」から始める
全台一斉が予算的に厳しいなら、経理PC・サーバー・経営層の端末など、被害が大きい端末から先に入れるのも現実的な選択です。どの端末が重要かの整理は、EDR選定の考え方(「中小企業向けEDR、選定の5つのポイント」)とセットで。「すべてを一度に」ではなく「重要なところから確実に」は、ゼロトラストの考え方(「ゼロトラストセキュリティ、中小企業にも必要か」)とも通じる進め方です。
費用を「現実的」にする4つの工夫
同じEDRでも、進め方しだいで負担は大きく変わります。次の4つを押さえておきましょう。
- ①台数の把握から始める。ライセンスは台数分かかるので、正確な台数が分からなければ見積もりも取れません。会社が把握していないPCや、業務外の使われ方をしている端末(「社員のPC、業務外で何が起きているか把握できていますか」)が残っていると、そこが守りの穴になります。
- ②公的な仕組みを使う。IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の一覧で、監視込みパッケージの内容と料金を比較する。さらに、デジタル化・AI導入補助金2026にはセキュリティ対策推進枠があり、お助け隊サービスの利用料などが補助対象になります(条件・補助率は公式サイトで最新を確認してください)。
- ③「全部入り」を避ける。高機能な上位プランほど高くなります。自社に必要な機能を見極める軸は「中小企業向けEDR、選定の5つのポイント」で整理したとおり。迷ったら「その機能のアラートを、誰が見るのか」を自問すると削りやすくなります。
- ④運用の設計まで含めて予算にする。月々のライセンス費だけ稟議を通して、運用の時間や監視費用を積んでいないと、導入後に「回らない」が起きます。PCロックの徹底のような日常の安全管理(「PCロック監視、社員の生産性管理ではなく安全管理として」)と同じで、仕組みは「続けられる形」で入れてこそ意味があります。
EDRの予算で本当に問われているのは「月いくら払えるか」ではなく、
「検知した後、誰が動くか」です。金額はその答えから逆算できます。
まとめ:相場を知り、運用から逆算する
- EDRの費用は「ライセンス+運用」の2階建て。ライセンスはPC1台あたり月額500〜1,500円程度が2026年時点の目安(サーバーは別枠で高め)
- PC30台なら、ライセンスのみで月1.5万〜4.5万円程度+担当者の時間。運用まで任せるならライセンスの数倍を見込む(専任者を雇うよりは大幅に安い)
- 全台一斉が厳しければ、経理PC・サーバーなど重要端末からの段階導入も現実的
- IPAのお助け隊サービス(監視強化・コンサル要件の2類あり)と、デジタル化・AI導入補助金2026のセキュリティ対策推進枠は必ずチェック
- 予算の出発点は正確な台数の把握。守る対象が見えていないと、見積もりも守りも穴だらけになる
見積もりを取る前に、ひとつだけ確認してください。「うちのPCとサーバーは、全部で何台ですか?」――この質問に即答できないなら、EDRの検討はまだ早いかもしれません。台数が分からなければライセンス数を決められず、把握していない端末はEDRを入れても守れないからです。
EDRの導入も、まずは守る対象の見える化から始めましょう。
参考(公式情報)
※価格の目安は2026年時点の公開情報にもとづく一般的なレンジです。制度・補助金の内容は更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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ライセンス数の見積もりも、段階導入の優先順位も、出発点は「社内に何台あるか」の正確な把握です。SOLAMILUは、社内のネットワークとIT機器の状況を見える化し、ムダのないEDR導入計画づくりをお手伝いします。
