中小企業向けの「簡易なBCP」として国が認定する制度、事業継続力強化計画。SOLAMILUも実際に申請し、2026年8月25日付けで認定を受けました。やってみて分かったのは、むずかしいのは計画の中身ではなく、申請フォームの入力だったということです。2回の差し戻しも含めて、実際にたどった手順をそのまま公開します。これから申請する会社の、時間の節約になれば幸いです。
事業継続力強化計画とは(30秒で)
事業継続力強化計画とは、中小企業が「災害などで事業が止まらないようにするための、簡易な事前対策の計画」を国に認定してもらう制度です。分厚いBCPを作る必要はなく、決められた様式に沿って、自社のリスクと備えを書いていく形になります。
認定を受けると、税制や金融の支援、補助金の加点などの優遇を受けられる場合があります(内容や要件は変わることがあるため、最新情報は記事末の公式ページでご確認ください)。「本格的なBCPはまだ難しい」という会社が、最初の一歩として使いやすい制度です。制度そのものの位置づけは「災害時の業務継続、最小限の準備で最大の効果を出す方法」でも触れています。
SOLAMILUの認定内容
中部経済産業局長認定/2026中部継強単認第1756号/認定日:令和8年8月25日(申請:令和8年7月28日)
実際の流れ:申請から認定まで、約1か月
結論から書くと、申請から認定通知が届くまでは約1か月でした。ただし、そこにたどり着くまでに入力フォームで2回の差し戻しがあり、体感の手間はこの日数より大きめです。全体像は次のとおりです。
入り口は、取引先の金融機関でした
今回いちばん助かったのは、取引先の金融機関が、申請の方法と記入例を事前に用意してくれたことです。ゼロから様式に向き合うのと、埋め方の見本がある状態で始めるのとでは、必要な時間がまったく違います。
事業継続力強化計画は、金融機関や商工会議所・商工会、支援機関が案内や相談に応じているケースが多い制度です。「自社だけで調べて進める」前に、まず取引のある金融機関や商工会に「事業継続力強化計画をやりたい」と一声かける。これが、最短ルートだと感じました。
これから申請する会社へ:最初にやること
取引先の金融機関・商工会議所・商工会などに、「事業継続力強化計画の申請を考えている」と相談してみてください。様式や記入例、進め方の案内をもらえることがあります。自力で様式とにらめっこする時間を、大きく減らせます。
2回、差し戻されました
正直に書きます。計画の中身を考えるより、電子申請システムのフォーム入力のほうが大変でした。項目の言い回しが行政の言葉のままで、「ここには何を、どの粒度で書けばいいのか」が読み取りにくい。結果として、SOLAMILUは2回の差し戻しを受けています。
つまずきやすいのは、だいたい次のような点です。
- 項目名が抽象的で、求められている記載の粒度が分からない(一言でいいのか、具体策まで書くのか)
- 自社の実態をそのまま書くと、様式が想定している書き方と噛み合わない
- 前の項目と後ろの項目で、内容の整合が取れていない(想定リスクと、対策の対象がずれている)
- 入力欄の形式・文字数の制約に気づかず、書いた内容が収まらない
ここで大事なのは、差し戻しは失敗ではないということです。指摘は「どう直せばいいか」を教えてくれる情報でもあります。一度で通そうと構えるより、「たぶん何回か往復する」と最初から見込んでおくほうが、精神的にも工数的にも現実的でした。
AIの使いどころ:作文はまかせて、事実は自分で書く
記入例を手に入れたあと、入力作業では生成AIを併用しました。役に立ったのは「文章を作る」部分で、逆にまかせてはいけないのは「自社の事実」の部分です。この線引きが、そのまま使い方のコツになります。
AIに向いていたこと
- 記入例の言い回しを、自社の状況に置き換える:見本の文章と、自社の実情をメモで渡し、様式にふさわしい文章の形に整えてもらう
- 行政の言葉をかみ砕く:「この項目は、要するに何を聞いているのか」を平易に言い直してもらう
- 差し戻し内容の読み解き:指摘の文面を渡し、どの項目のどこを直せという意味かを整理してもらう
- 文字数の調整:内容を変えずに、入力欄に収まる長さへ縮める
AIにまかせなかったこと
- 自社のリスクと備えの中身:どの災害を想定するか、何を止めないか、どの機器・データを守るかは、自社にしか分かりません
- 制度・要件の事実確認:AIの説明は古かったり間違っていたりします。制度の要件は必ず公式ページで確認してください
- 最終チェック:提出前に、人が全項目を読み返す。AIが作った文章は、もっともらしく見えるほど見落としやすくなります
もうひとつ、実務上の注意です。AIに入力する情報の扱いには気をつけてください。取引先名、従業員の個人情報、システムの詳細な構成など、社外に出せない情報をそのまま貼らない。会社としてAIの利用ルールを決めていない場合は、この機会に「何を入れてよいか」を先に決めておくことをおすすめします。
AIは「様式に合った文章を書く係」。何を守るかを決めるのは、人の仕事です。
やってみて分かった、準備しておくと早いこと
申請を短時間で終わらせたいなら、フォームを開く前に、次の3つを手元にそろえておくのが効きます。書く材料さえあれば、入力そのものは詰まりません。
- 想定するリスクを決めておく(自社の所在地で起こりうる災害。ハザードマップで確認できます)
- 止めたくない業務を1つ決めておく(すべてを守ろうとすると、書く内容が発散します)
- その業務を支えている設備・IT環境を一覧にしておく(どの機器・回線・データに依存しているか)
とくに3つめでつまずく会社が多いはずです。「うちのネットワークに、そもそも何がつながっているのか」が分からないままだと、守る対象を書けません。BCPの進め方全体は「BCP対策とは?中小企業が今すぐ取り組むべき5つのステップ」、途中で止まってしまう理由は「中小企業のBCP対策、なぜ進まないのか?」で解説しています。
セルフチェック:申請の材料、そろっていますか?
□ 自社の所在地で想定される災害を、把握していますか?
□ 「これだけは止めない」業務を1つ、決めていますか?
□ その業務を支えている機器・回線・データを、一覧にできますか?
3つめが「いいえ」なら、まずは自社のIT環境の見える化から始めるのが近道です。
まとめ:制度は難しくない。難しいのは入力フォーム
SOLAMILUが実際にたどった手順は、次のとおりです。
- 取引先の金融機関に相談し、申請方法と記入例を用意してもらう
- 想定リスク・止めない業務・支えているIT環境の3点を、先に決めておく
- 電子申請システムのフォームに入力する(作文は生成AIを併用、事実は自分で書く)
- 差し戻しは前提として見込み、指摘を直して再提出する
- 申請から約1か月で認定通知を受領
制度の中身は、中小企業が自力で書ける範囲に設計されています。手が止まるとしたら、たいていは「自社が何に頼って動いているか」を書き出す段階か、フォームの日本語です。前者は事前準備で、後者は記入例と往復を前提にした構えで越えられます。
事業継続力強化計画で最初に書くのは、自社が何を持ち、何に頼っているかです。
SOLAMILUは、その土台となる「自社のネットワークとIT資産の見える化」を支える仕組みです。
参考リンク(公式情報)
※リンク先は外部の公式サイトです(別タブで開きます)。制度の要件・優遇内容・申請方法は変わることがあるため、最新情報は各公式ページでご確認ください。本記事は当社が申請した時点での体験に基づくものです。
あわせて読みたい
BCP対策災害時の業務継続、最小限の準備で最大の効果を出す方法 › BCP対策BCP対策とは?中小企業が今すぐ取り組むべき5つのステップ › BCP対策中小企業のBCP対策、なぜ進まないのか?5つの壁と解決のヒント ›計画を書く前に、まずは「見える化」から
守るべき業務を決めるには、それが何に支えられているかを知ることが先です。SOLAMILUなら、社内ネットワークとIT資産の見える化を無料で始められます。
