
ゼロトラストと知覚セキュリティ~境界のない時代に「気づき」をもたらすということ~
かつて、私たちのセキュリティ対策は「信頼できる内側」と「脅威が潜む外側」という二元論に基づいて設計されていました。組織の中に入ってしまえば「安全」という前提。しかしこの考え方は、クラウド、モバイル、リモートワーク、そしてIoTの普及によって、大きく揺らぎ始めています。
そこで登場したのが「ゼロトラスト(Zero Trust)」というセキュリティモデルです。
ゼロトラストとは何か?
「ゼロトラスト」という言葉が最初に登場したのは、1994年4月、スティーブン・ポール・マーシュ(Stephen Paul Marsh)氏の博士論文においてでした。彼は「信頼(Trust)」を単なる二択の状態ではなく、「動的かつ文脈依存の判断」と定義し、あらゆるシステムが常に信頼を再評価しながら制御されるべきであると説きました。
この思想を元に、2009年には米Forrester社が「ゼロトラスト・アーキテクチャ」として具体的なセキュリティフレームを提唱。現在では、NIST(米国国立標準技術研究所)もガイドラインを策定し、世界中の企業や政府機関が採用を進めています。
ゼロトラストの原則
ゼロトラストには、以下のような基本原則があります
すべてを信頼しない(Never trust)
常に検証する(Always verify)
最小権限アクセス(Least privilege)
コンテキストに応じたアクセス制御
継続的なモニタリングとログ取得
これらはいずれも、「組織の内外を問わず、すべてのアクセスは検証されるべきである」という思想に基づいています。
SOLAMILUの知覚セキュリティとの共鳴
SOLAMILUが提唱する「知覚セキュリティ(パーセプチュアル・セキュリティ)」は、ゼロトラストの技術的な根幹と高い親和性を持っています。
ゼロトラストの実装において重要なのは、リアルタイムに異常を検知し、即座に気づけるインターフェースです。設定ミスや権限の誤り、不審な通信といったリスクは、気づかなければ対処できません。
SOLAMILUは、ネットワークや機器の状態を「色」「形」「構造」で**直感的に“知覚できる”**よう可視化し、非エンジニアでも一目で異常に気づける環境を提供します。
たとえば、
見知らぬスマホがネットワークに接続 → 赤色で即時アラート
重要なセキュリティ設定がOFF → 色が灰色に変わって通知
通信トラフィックに異常 → ネットワーク構成図で強調表示
こうした仕組みにより、「人の直感と機械の制御」が融合した“気づき”のあるセキュリティ体験を創出しています。
ゼロトラストの時代に必要な“知覚力”
現代のセキュリティは、テクノロジーだけでは完結しません。ログが分析され、AIが検出しても、「その結果に気づけなければ」行動は起こせないのです。
ゼロトラストが信頼を“常に再評価”するモデルであるならば、SOLAMILUの知覚セキュリティは、その再評価の判断材料を「視覚」で提供する新しいレイヤーといえます。
可視化によって“知覚”を促し、“気づき”によって判断と行動が生まれる。 それがSOLAMILUの目指す、気づきから始まるセキュリティのあり方です。
結びに
セキュリティを“誰かが守ってくれるもの”から“みんなが自分で気づけるもの”へ。
SOLAMILUは、ゼロトラスト時代の根本思想に寄り添いながら、新しいセキュリティ文化の土台を築いていきます。
今後の情報社会において、「信じないことで守る」ゼロトラストと、「気づくことで守る」知覚セキュリティの組み合わせは、極めて実践的かつ未来的な選択肢となるでしょう。