
近年、サイバー攻撃の中でも特に深刻な被害をもたらしているのが「ランサムウェア」です。
2020年以降、その手口は高度化し、被害は企業規模を問わず急速に拡大しています。
本記事では、グローバルな調査データを基に、現在の感染状況とその背景を掘り下げて解説します。

1. 世界の感染状況:2023年には企業の 66% が被害を経験
セキュリティ企業の調査によれば、2023年の12カ月間で世界の企業の約66%がランサムウェア被害を経験 しています。
これは「3社に2社が被害に遭っている」ことを意味し、もはやランサムウェアは例外ではなく“誰もが直面するリスク”と言えるでしょう。
中でも、特筆すべきは 中小企業の被害率が13%に達していること。
大企業だけでなく、小規模組織も明確に攻撃対象として認識されていることが分かります。
過去には「大企業が狙われる」といったイメージが強かったものの、現在は
・侵入口が多い
・セキュリティ担当者が少ない
・管理体制が手薄になりやすい
といった理由から、むしろ中小企業の方が“格好の標的”となっているのが実情です。

2. 2020年以降の感染率が急上昇した理由
ランサムウェア被害が2020年以降に急増した背景には、社会環境の大きな変化が関連しています。
(1) リモートワークの普及
コロナ禍をきっかけに、多くの企業がリモートワークへ移行しました。
しかし、急速な環境の変化により、以下のようなセキュリティ穴が残されたまま運用されるケースが散見されました。
・自宅Wi-Fi の脆弱性
・私用PC の利用
・VPN設定の不備
・管理されていない端末の増加
攻撃者はこれらの隙を巧妙に突き、企業ネットワークへの侵入を容易にしていきました。
(2) クラウド利用の拡大
クラウドサービスの利用拡大は利便性を向上させましたが、一方で
・誤設定
・アクセス権限管理の不備
・API や公開設定の脆弱性
が新たな侵入口として攻撃者に悪用されるようになりました。
(3) ランサムウェア攻撃のビジネス化
現在のランサムウェアは、単にハッカーが単独で行うものではありません。
「RaaS(Ransomware as a Service)」 と呼ばれる、攻撃ツールを提供するビジネスモデルが普及しており、技術力のない犯罪者でも攻撃に参加できる時代になっています。
攻撃者の裾野が広がったことで、攻撃件数そのものが圧倒的に増えています。

3. 感染の原因:企業が狙われる共通の弱点
ランサムウェアによる侵入経路は複数ありますが、実際には以下が多くを占めます。
・フィッシングメール
・RDP(リモートデスクトップ)の不正アクセス
・VPN脆弱性
・ソフトウェア更新の遅れ
・誤設定されたクラウド環境
特に中小企業では、IT担当者が1名または兼任というケースが多いため、「気づく人がいない」「設定が放置される」という状況が発生しやすく、攻撃者に利用されます。

4. “感染したのに気づかない期間” が被害を拡大させる
注意すべきは、ランサムウェア被害の多くが「侵入されてから気づくまでに長期化する」という点です。
一般的に、侵入後すぐに暗号化されるケースもあれば、数週間〜数か月潜伏して、
内部調査 → 権限奪取 → 横展開 という工程を経てから攻撃が実行されます。
過去の調査では、侵害に気づくまでの平均期間は
数十日〜数百日
という報告もあり、その間に内部情報は盗まれ続け、バックアップさえ破壊されてしまうケースもあります。

5. 中小企業が取るべきランサムウェア対策の方向性
ランサムウェアは「感染後の対応」よりも「感染前の対策」が重要です。
しかし、中小企業が大規模なセキュリティシステムを導入するのは現実的ではありません。
そのため、以下のポイントが“現実的かつ効果的な対策”となります。
(1) ネットワークの可視化
まず必要なのは、「自社ネットワークが現在どうなっているか」を把握すること。
・何台のPCがあるのか
・未登録デバイスはないか
・セキュリティ機能がOFFになっていないか
・不審な通信はないか
これらを継続的に監視し、異常に“気づける状態”を作ることが防御の出発点です。
(2) バックアップの徹底
オフラインバックアップやクラウドバックアップは必須。
復旧時間・被害額を大幅に抑えることができます。
(3) 権限管理とパスワード運用の強化
攻撃者はまず「管理者権限」を奪おうとします。
不要な管理者ユーザーをなくし、多要素認証を必ず導入しましょう。

6. SOLAMILU が果たす役割: “気づけるセキュリティ” の実現
SOLAMILUは、ランサムウェア対策の中でも特に重要な
「気づく」仕組みを提供するセキュリティプラットフォーム です。
・ネットワーク上の端末をリアルタイムで可視化
・セキュリティ機能OFF状態を即時に検知
・不明デバイスの接続を警告
・Defender設定のチェック(ランサムウェア対策含む)
“異常時の見える化” によって担当者の判断を支援
高度な専門知識がなくても「状況がひと目でわかる」ため、IT担当者が少ない中小企業に特に適しています。
まとめ
2020年以降、ランサムウェアは技術進化・攻撃者の増加・社会環境の変化によって急増し、
2023年には 企業の66%が被害を経験する深刻な状況 に達しました。
現在求められるのは、
『気づける環境』
『見える化されたネットワーク』
『現場で判断できる仕組み』
SOLAMILUは、この根本的な課題に対応する「知覚型セキュリティ」として、企業のランサムウェア対策を実効性ある形で支援するツールです。
今後は単なる防御ではなく、「異変に気づき、最小の被害で止める」
という考え方こそが、中小企業が生き残る鍵となるでしょう。
